ソニックブーム関連研究

2018年5月21日

高空を超音速で飛行する航空機は,周囲の空気を圧縮し衝撃波を生じさせます。その衝撃波が大気中を伝播して地上へ到達するとき,爆音(ソニックブーム)となって観測されます。ソニックブームは人が聞いて大変不快なだけではなく,時には建物の窓ガラスが破損するなどの被害も引き起こすことから,超音速機の利用が制限される一つの要因となっています。

現在,ソニックブームの発生を抑制する超音速機の開発が盛んに進められています(下記動画参照)が,抑制の効果を評価するためには,大気中を伝播する衝撃波の特性を理解することが重要となります。

大気中を伝播する衝撃波は,長い距離を進むほど減衰しますが,実際に観測されるその減衰量は,大気を理想気体と仮定した時よりも大幅に大きいことが分かっています。つまり,実際のソニックブームは,大気を理想気体と仮定した時の予測よりはるかに小さい音で聞こえているのです。また,その減衰の程度は大気の状態によっても異なります。本研究では,実在気体の効果(大気中の窒素や酸素の分子振動),および大気の相対湿度が衝撃波の減衰に与える影響について数値解析的に調査しました。